ハイテクIPOに手を出す前に、考えておくべきこと
ライナスです。
ハイテク系のIPOが流行ってますね(流行ってましたね?)。この記事を見ている方は既読だとは思いますが!もみあげ氏もIPOに関する記事を投稿していました。
今回私の記事ではあまり個別銘柄について触れませんが、UberとLyftに関しては過去にも記事を書いているので未読の方は是非読んでみてください。
ライナスのハイテクIPO観
非常に難しいです。
企業分析が疎かと言うこともありますが、実はIPO前からビジネスの中で知っている企業…例えば所属企業が出資していたり、所属企業の取引先が出資していたり、エコシステムの説明があったり、事業の「魅力」に触れる機会がある銘柄もありました。
商品としては確かに魅力的です。現存する上場企業に対抗できそうな商品を開発してる会社もありますし、SaaS企業も既存大手企業のサービスに劣らないものも多くありました。それでも、難しいです。
何が難しいのか?
ボロボロの状態ではIPOできないので多少数字を前倒ししてまで財務を良く見せようとします。そのため、IPO直後の決算などでは数字が悪くなって見えるようなことも…と言うのもありますが、それ以前にライナスが前から主張してきた「市場のパイ」が問題なんです。
本当に全く新しいビジネスなら市場のパイは顧客獲得に比例して伸びていきます。しかし、多くは既存ビジネスにぶつけるような製品か、Uberのようなものはタクシーなど既存別ビジネスと競合するサービス・ビジネスです。
ちょっと強引な説明をしますと、あるA社の浮動株が10000株としましょう。主力製品のラインナップ拡充のために15000株に増やしたら、(事業期待をおいておくとして)単純に見ると1株の価値は下がります。競合するビジネスのIPOはそれに近いわけです。10000株に向かってた資金が、IPOの5000株に向かうのか、既存株の10000株に残るのか。
もちろん待機資金や全く別の企業から資金が向かう可能性もあるのですが、ビジネスにせよ、投資資金にせよ、パイを奪い合うことになるのです。つまり、IPO企業の製品、サービス、ビジネスがどれだけ魅力的に映っても、「絶対的且つ相対的に」魅力が無いと多くの期待を超えることはできません。
そもそもハイテクIPOは(今でこそネガ気味であるものの)テンバガー狙いなど期待が乗りやすいので、既存の競合からパイを奪い成長する…成長し続けることが出来なければ、期待外れに終わることでしょう。
未来にも目を向けないといけない
もし仮に、前段の「絶対的且つ相対的に」魅力がある企業のIPOがあり、株を買えたとしましょう。そのままそのサービスが世界に浸透し、株価が数倍、数十倍に伸びるまで気絶しておけば良いのか…と言えば、必ずしもそうとは限りません。
今後IT系サービスの数は増え続けていきます。それも、想像を絶する速度で、です。このIT系の新サービスは、未公開企業、IPO企業、そして上場企業、大手企業から次々と発表されていくでしょう。
特にSaaS企業を始め、「〇aaS」の(ユーザから見た)魅力は「初期費用が安い」「簡単に導入できる」ことです。これによりワイドモートさの一つである「乗り換えコスト」の圧縮を可能とし、結果として競合他社のワイドモートを崩すことができます。つまり、参入障壁を低くするわけです。
一見新興企業には有利そうですが、これは「参入障壁を下げたビジネスに参画した」と言うことです。既存大手からパイを奪いやすくなる代わりに、次々と発表される新サービス、新規企業にパイを奪われるリスクも多くはらんでいることになります。
今現在「絶対的且つ相対的に」魅力がある企業だったとしても、数年後…いや、最悪1か月後にはもはや相対的に魅力がない企業に成り下がっている可能性さえあるわけです。
未公開企業やIPO企業のサービスを見ていると、元SIer、そして現ITメーカーの営業として、「なんだか凄そうだ」「これは伸びそうだな」と思うことはたくさんあります。でも数か月すると、同じような、あるいはそれ以上に「なんだか凄そうだ」「これは伸びそうだな」と思うことがあるのです。
初値売り抜けギャンブルで遊ぶだけなら良いですが、IPO銘柄の中長期投資は「今も未来も含めてビジネス、企業を見る目がある」「握力がある」…あるいは「運が良い」かで決まるでしょう。
私は世間の期待値を上回り続けられそうな企業を見つけるのが難しそうなので、インサイダーにならない程度に有力な情報を市場より優先して入手できたとしても、あまりIPO銘柄に手を出そうとは思えませんね。
ではでは今日はこの辺で。
明日も大吉☆(。>ω<)b