ライナスの米国株投資術

ライナスの米国株投資術

NYSE上場米国系企業(の、日本法人)に勤めるライナスの米国株式投資記録。投資方針や成績、雑感など書いていきます。

【テクリテ連載】仮想化・クラウドの台頭②【第四回】

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テクリテ連載第四回です。

お題は「仮想化・クラウド」です。

 

まずはテクリテ連載についてご一読ください。

guillemet0u0.hateblo.jp

 

前回の続きの記事になります。

 

さて、前回はIaaSやPaaSなどクラウドサービスの違いと、HWの進化によりクラウドが発展した旨を書きました。今回はプライベートクラウドパブリッククラウド、それぞれのメリデメやクラウドビジネスについてです。

 

パブリッククラウドは皆様ご存知のAWSやAzureなどです。クラウドベンダーがサービスとして提供しているクラウドです。案外レッドオーシャンで、国内にも種類は沢山ありますが、多くは市場の注目どころか、同業者にすら知られないくらいです。

 

プライベートクラウドは自社のデータセンターにHWを配置し、仮想環境を利用するものですね。名前の通り自分用のクラウドと言うことです。

 

後者は非IT系の人からすると何がクラウドなんだ?って感じかもしれませんね。まぁこの辺はふわふわです。例えば自社で勤怠管理システムを持っている会社は、社員からすればプライベートSaaSみたいな状態です。

 

前回の記事でネットワーク越しに使えばまぁクラウド、と書いていたので、MW入りリモートデスクトップが出来ればまぁPaaSだし、マイクロソフトのハイパーVやVMwareのESXiとかが使えればまぁIaaSでしょう。

 

ただここではちょっと掘り下げて、まるでパブリッククラウドのように扱える自社専用の大規模仮想基盤と思ってください。

 

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ここから少し投資家の目線を向けてみましょうか。以下、明記しない限り「クラウド」と表記した場合はパブリッククラウド(AzureやAWSなど)のことです。

 

まず、クラウドビジネスは儲かるか?です。ここまで書いた通りクラウドにもいくつかあるので、シンプルで分かりやすいIaaSで考えてみます。料金体系によると思いますが、漠然とビジネスを見たとき、正直あんまり儲からないと思います。

 

これはIaaS型のクラウドサービスを提供する際に、

 

・セキュアなデータセンター費用

・ハードウェア購入費用(大口購入で特価とする)

・可用性、冗長性確保も考慮

・高速なネットワーク敷設費用

・マルチテナントの場合セキュリティ確保

・バックアップやDR(災害対策環境)の用意

・管理用UIの開発、メンテナンス

 

と、莫大なコストを「事前投資」する必要があります。そして維持をするにもコストがかかります。通常、オンプレミス(プライベートクラウドなど)は案件ありき、上物のシステムありきでスタートしますが、クラウドサービスはある程度客付け前提となります。

 

もちろんスモールスタートもできますが、ある程度の顧客が一斉に利用を始めたらすぐダウンするようでは話になりません。いくらHCI(ハイパーコンバージドインフラ)により迅速な拡張が可能とは言え、HW購入の予算確保や、発注後の納期も考えると余力0とはいきません。

 

ちなみにHCIとは、簡単に言えばサーバ、ストレージ、NWがオールインワンになっていて、沢山くっつけるとソフトウェアでウマい事やってくれる便利なサーバです。技術的なことを言い出すとキリがないので割愛します。

 

 

 

投資家の皆様にわかりやすい例を挙げますと、システム環境は不動産投資に似ていると思います。IaaSはマンション投資みたいなもんです。土地、建築、メンテナンスにコストがかかります。入居率が低いと負債ばかりが増えていきます。

 

都内の一等地がAzureやAWSです。儲けてます。無名クラウドは過疎地にマンション建てるようなものです。AWSやAzureは余力があるので、入居者に対して付加価値を提供できています。家具や家電貸し出しサービスのように…開発環境をPaaSの形で提供して差別化&収入源確保してます。無名クラウドは負債がある上に入居者が少ないので、次々手を広げようとしても余力がないわけですね。

 

このイメージで見たとき、もう一度考えるとどうでしょう。「不動産投資って儲かるの?」って置き換えたときに、「上手く行けば…一部は。ダメな人は全然ダメ。」ってなるでしょう。クラウドも同様ですね。

 

 ちなみに、クラウドは「乗り換えやすい」です。ここも賃貸と同じです。持ち家と違い乗り換え容易です。システムにも大量データにも引越サービスがあります。成功者同士で入居者を奪い合う状態になりますし、いくらレッドオーシャンと言え資金があれば、環境自体は用意はできてしまうわけです。

 

レオパレスのように不法建築が見つかれば…セキュリティ上の致命的な脆弱性やハッキング被害、顧客の信頼を失墜する自体が起これば、競合他社に乗り換えられ、シェアは瓦解してしまうでしょう。

 

堀は深いように見えて案外浅い部分もあるのです。

 

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ちょっとオンプレミス、HW販売に目を向けます。

 

皆さんはもう全部クラウドで良くね?とお思いでしょうか。何となく、中小企業やIT企業も「何でもクラウド化」の流れがあるように思えます。上手く使えば便利です。

 

不動産で言えば今まで注文住宅で、個別設計して建ててました。建てた後で家族構成が変わると計画が狂ったりしていました。これがクラウドの登場で、必要に応じて引っ越しやすくなりました。しかも同じ会社なら引越し費用も不要なイメージです。フレキシブルに狭い部屋、広い部屋に引っ越せるし、自由に家具や家電を借りれます。費用は使った分だけです。

 

こうしてみると素晴らしく、全部クラウドで良い気もするのですが、では仮に不動産でそういう環境があるとして、持ち家派は0になるか?と言う話ですね。多分ならないと思います。やはり個別設計も必要です。

 

また、パブリッククラウドはインターネット経由で利用します。金融システムなどはイントラ(外のネットには出ない)環境が必要なケースも多いのでプライベートクラウドが利用されます。

 

私は以前5G関連の記事で、市場のパイの概念からシスコなどHW販売ビジネスに行き過ぎた期待をするのはネガティブ、と言った発言をしていましたが、まだまだこういうニーズはあるのですね。オールクラウド時代はまだかかると思っています。(とは言えやっぱり、長期的に見ると過度な期待は禁物でしょう。)

 

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ちょっと話があっち行ったりこっち行ったりですみません。長くなってきたのでそろそろまとめますね。

 

クラウドビジネス(IaaS,Paas)は儲かるか?に対しては、不動産ビジネス同様、レッドオーシャンである、と思います。AWSはAzureは入居者(クラウド利用企業)が漸増している市場で、マンション経営に大成功している、と考えればわかりやすいです。つまり成功者にフォーカスすると「めちゃ儲かる」と思います。ただし乗り換えも容易なので、シェアの推移には要注意です。また、競合他社や利益確保のモデルにも注視したいですね。


それでは今日はこの辺で。

明日は大吉☆(。>ω<)b

 

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